還元水が腸内細菌に作用してあなたのウンチは健やかに!?
今 回は、還 元 水 の 摂 取 が 便 の 硬さと腸 内細菌に及ぼす影響について実施された、興味深い研究結果を紹介します。
まずお聞きしますが、あなたが日ごろ排泄している便はどんな様子ですか。ブリストル・スケールというモノサシ( 下 図 )を使って、確認してみてください。

■便のタイプを把握しよう!
タイプ1はコロコロ便。よくウサギのうんこみたいといわれる硬さと形のものです。タイプ2はソーセージ状でも硬いので、排便時にお尻が痛くなるような便です。タイプ3はやや硬く表面にひび割れがあるソーセージ状の便。タイプ4が 普 通 便 。スルスルっと排 便できて多いととぐろを巻く便です。
タイプ5はやや軟らかい便で、しわがあって半分固形になっているものです。タイプ6は泥 状 便で、ふにゃふにゃで不 定 形の便です。タイプ7は固形物を含まない、いわゆる水様便です。このうちタイプ1、2は便秘状で、タイプ6、7は下痢便とされるものです。2019年に京都府立医科大学の伊藤義人教授や高木智久准教授らによる、日本人の便の硬さの調査・研究の結果が報告されました。それによると、健康な男性の60%がタイプ5と6のゆるい便の傾向でした。一方、女性ではタイプ1、2の硬い便の割合が多く、若い男性ではタイプ1、2はなかったと報告されています。つまり男性は下痢傾向にある人が多く、女性は便秘傾向にある人が多いということです。
次に、学術雑誌『Medical Gas Research』(2021年10月号)に発表された“アルカリイオン水(還元水)の摂取が便の硬さと腸内細菌叢に及ぼす影響”という内容の論文を紹介します。
山梨大学の小山勝弘教授らの研究で、健康なボランティアの男性20人に参加してもらい実施しました。参加者は年齢が30-59歳で非喫煙者、かつ抗酸化物質を常用せず、還元水も常用していない人たちです。また試験中は激しい運動はしないように指示しています。半数の10名には、2週間、1日250ml入りのアルミパウチに入った還元水を2パウチ(500ml)飲んでもらいました。残り10名にはアルミパウチ入りの浄水を同量、飲んでもらいました。この実験は誰が何を飲んだか分からないよう二重盲検法でおこなっています。
なお、還元水も浄水も同じ水道水から同じ生成器で作ったもので、還元水はpH9.5、水素濃度0.3mg/Lに調整しました。
■還元水飲用2週間後の結果は?
試験参加者の便の硬さと排便回数はアンケートにとって記録しました。さらに排便回数が0回の日はブリストル・スケール値が出せなかったり、複数回の日は複数のスケール値になったりするため、2日間ごとにスケール値を合計し、それを排便回数で割ってデータとしました。たとえば2日間でスケール値が4と5の便が各1回とすると、(4+5)÷2回でスコアは4.5となります。
なお便の採取は試験開始前日と試験終了日におこなっています。
多くの日本人の腸内細菌叢は、アクチノバクテリア門、バクテロイデス門、ファーミキューテス門と呼ばれる3種類で構成されていますが、あらかじめ調べたところ、参加者も同様でした。
さてその試験結果は――。還元水を2週間飲用した10名のうち9名が、アクチノバクテリア門の割合が有意に増加しました。他方、浄水を飲んだ群では有意な変化は見られませんでした。
より細かく解析したところ、還元水を飲んだ群はアクチノバクテリア門に含まれるビフィズス菌の割合が増加していました。浄水を飲んだ群に有意な変化はありませんでした。
ブリストル・スケールを見ると、還元水を飲んだ群の試験前はタイプ3から6に分散していましたが、試験後は正常のタイプ4に収束していました。浄水を飲んだ群は人によって変化はありましたが、一定の傾向は見られませんでした。
■筆者も還元水飲用後に便を調べた!
『腸内細菌学雑誌』(2004年/18巻2号)に、ビフィズス菌を錠剤で摂取させたところ、便の硬さや回数に改善が見られた、という森下仁丹の実験結果が載っていました。前出の京都府立医科大学の試験結果は、この実験が裏打ちしていると思われます。つまり、還元水を飲むことでビフィズス菌が増加し、それが便の硬さなどを正常にさせたと考えられるのです。ビフィズス菌というのは乳酸菌とともに腸内細菌の善玉菌の一種です。離乳前の赤ちゃんは便の90%以上がビフィズス菌ですが、年齢とともに減ります。60歳以上になると0%になる人もいます。しかし菌の種類は一生を通じてほとんど変わりません。また腸内細菌は年齢だけでなく、食べ物やストレスでバランスが変わることがあります。わたしは還元水を飲み始める前に、興味があってある検査機関で自分の便の腸内細菌について調べました。そして還元水を飲み始めてから1年以上たった昨年10月に、もう一度検査をしてみました。すると、飲用前に0.14%だったビフィズス菌は、4.51%と大幅に増加していました。ちなみにその検査機関での健常者の平均値は1.4%ですから、それと比較してもかなり増えたといえます。その間、わたしはビフィズス菌のサプリメントや薬を飲んでいませんし、食生活が大きく変わったわけでもありません。したがって、わたしの場合も腸内細
菌の変化の原因に還元水が大きく関与していた可能性があります。腸内細菌を調べなくても、善玉菌の割合が多いかどうか確認する簡単な方法があります。それは日々の便の様子を観察することです。善玉菌が増えると便はあまり臭くなくなり、色も黄土色、そしてブリストル・スケールのタイプ4になります。観察は健康増進のための第一歩ですよ。

上古眞理
略歴:
医学博士。エナジックインターナショナル顧問。
(株)Peak Health Energy 代表取締役。1990年、滋賀医科大学卒業。
同大内科医局の研修を経て93年、同大医学部大学院に進み、96年、医学博士号取得。
98年4月より2017年12月まで京都岡本記念病院に勤務。
18年1月より19年12月まで彦根市立病院勤務。
専門は神経内科。滋賀県在