連鎖販売の処分、5月に2件連発!

 この2020年5月に、連鎖販売取引事業者に対する行政処分が2件、相次ぎました。5月21日、東京都は金融系の商材で連鎖販売取引をおこなっているA社に対し、特定商取引法に基づき3カ月間の業務停止命令を出しました。29日には、今度は消費者庁が英会話教材を扱うB社に対して、3カ月間の業務停止命令をおこないました。行政は、キャンペーン的に、特定の業態の事業者に対する処分を連発することがあります。法令順守の意識を、さらに高く持つ必要があります。

「勧誘目的」を明示しよう!

 A社の処分では「勧誘目的不明示」「重要事項不告知」「適合性原則違反」「支払い能力虚偽申告教唆」――の4項目の違反が認定されました。
 一方、B社の処分では「勧誘目的不明示」「勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘」「書面不交付」「断定的判断の提供」――の4項目の違反が指摘されました。
 このように、両社とも多岐にわたって違反が認定されているため、すべてについに触れることはできません。そこで2点だけ説明しておきましょう。
 一つ目のポイントとしては、両社とも「勧誘目的の不明示」を指摘されていることが挙げられます。勧誘する人に実際に会ってからではなく、電話やライン、メールなどでアポイントメントを取る段階で、「ネットワークビジネスの勧誘であること」と社名、氏名を告げておく必要があります。

必要事項は全部伝えよう!

 B社の場合は、勧誘目的を明確に告げずに、会社の事務所に誘い出して勧誘を実施したことから、「公衆の出入りしない場所における勧誘」という別の違反も認定されました。
 誘い出す場所がたとえばセミナー会場であったとしても、事前に勧誘目的を告げていなければ、この違反に当たります。注意しましょう。
 A社の処分では、「適合性原則違反」と「支払い能力虚偽申告教唆」の違反が問われました。これが二つ目のポイントです。適合性原則というのは、「知識・経験・財産に照らして不適当と認められる勧誘」を禁止するものです。

「金欠」の人の勧誘はNG

 A社の場合、「お金がない」と言っている大学生に対して金融系商品に関する連鎖販売取引を勧誘するなどしており、適合性原則違反に当たると認定されました。
 またA社の会員は、お金のない人を勧誘するに当たって借り入れを勧めており、「借り入れの理由」や「収入」について虚偽の申請をするよう助言していました。こうした点が「支払い能力虚偽申告教唆」の違反にも問われたのです。
 コロナ不況の到来がいわれる中、〝健全なネットワークビジネス〟は、時代に求められるビジネスといえます。こんなときだからこそ、ちょっとした違反も犯さないよう、細心の注意でビジネスに取り組みましょう。