いまなお怖い結核に挑む食事療法

 結核と言えば、かつては患者数も多く、「不治の病」と恐れられました。厚労省のデータによると、1950年の結核による死亡者は12万人を超え、死亡(要因)順位も1位でした。

 それが2019年には、それぞれ約2,000人と31位にまで劇的に下がり、もはや結核は「過去の病気」とみられるようになりました。

 そうはいっても、新規の結核患者は昨年、14,460人にのぼり、中でも20~29歳の罹患率が60歳以上の高齢者に次いで高く、若者の間の感染の広がりが心配されています。

 結核菌に感染すると、体重減少、食欲減退、倦怠感、微熱などの症状が出始め、咳、痰、胸痛、呼吸困難等の胸部症状を伴うようになります。進行すると、血痰、喀血、肋膜炎、さらに高熱に襲われてしまいます。

 治療方法は、薬剤の服用のほか、環境、安静、栄養が極めて大切になります。よい生活環境下で精神の安定を保ち、正しい食養によって人間が本来持っている自然治癒力を高めていく必要があるのです。

 結核は長期にわたる疾患ですから、とくに毎日の食事面の配慮が欠かせません。

 わたしの恩師であり、松井病院食養内科で一緒に働いた日野厚博士は、結核治療上の食生活では、しきりに「甘いものに注意を!」と喚起していました。

白砂糖の摂取に注意!

 結核菌に感染すると、血液中の白血球が動員され菌を食べようとします(貪食作用)。ところが白砂糖を一定量、摂取すると、この白血球の貪食作用が妨げられ、抵抗力が弱くなるというのです。

 したがって、食養内科では患者さんに対し、白砂糖の摂取を制限し、さらに卵焼き、すき焼きなど動物性タンパク質に砂糖を加えた料理にも注意を促しました。

 ほかに、食養内科で結核の患者さんによく出していたのが、「鯉こく」です。にが玉(胆のう)だけを取り出した鯉を筒切りにして、ゴボウと一緒に茶殻を入れた水で3~4日煮込む料理です。これはかなり効果がありました。

 結核は全身消耗性の病気だけに栄養量を増やしますが、他方、肥満を懸念して、動物性タンパク質や脂肪は過剰に摂らないよう注意する必要があります。逆にビタミン、ミネラルは、緑黄色野菜や海草で豊富に摂るようにします。

 主食は玄米などの未精白米に切り替え、タンパク質は、大豆、ゆば、豆腐、納豆、豆乳、ゴマなどで摂り、動物性食品はシラス干し、小魚、白身魚を中心にすると効果的です。また、果物のような身体を冷やす食べ物は避けるようにします。これらが、結核と闘う食養の定番と言えます。