ネットワークビジネス(NB)企業が特定商取引法違反で処分を受けるとき、必ずといっていいほど認定されるのが「勧誘目的等の不明示」という違反です。にもかかわらず、勧誘する側に「違法行為をしている」という認識が薄いのが、この違反の特徴です。今回は、この「勧誘目的等の不明示」について近年のNB企業の処分事例を見ていきましょう。
そもそも、「勧誘目的等」とは何でしょう。特商法では、連鎖販売取引の勧誘に先立って、相手方に対して①社名・氏名、②特定負担(商品購入や入会金など何らかの金銭負担)を伴う取引の契約の勧誘が目的であること、③商品・役務の種類ーーの3点を明示しないといけないと定めています。これを「三大告知義務」と言ったりもします。
「食事でも」だけではバツ!
たとえば、2018年12月に15ヶ月間もの取引停止命令を受けたWという会社のケースでは、NBの会員が「ランチしない?」と知人を電話で誘った行為が違反に問われました。
誘われた側は単にランチをするのだと思い会いに行ったのですが、食事後、「お茶しない?」と言われ、連れて行かれた先で、待っていた同社の社員にビジネスの説明を受けました。こんなケースでも違反なのです。
特商法では「勧誘に先立って」勧誘目的等を明示しなければならないと規定しています。消費者庁は、「勧誘に先立って」の定義について、「直接誘ったり、電話をかけるなど相手方と接触した」タイミングと説明しています。つまり勧誘のアクションを起こしたら、イの一番で勧誘目的等を告げなければならないのです。
18年6ヶ月の取引停止命令を受けたI社の事例では、消費者のスマートフォンに「一緒に頑張ってみない」とメッセージを送った行為が、違反と認定されました。
「一緒に頑張ろう」もダメ!
メッセージを送られた消費者は何のことか分からず、「詳しく教えて」と言ったのですが、勧誘した会員は「池袋に話を聞きにくればいいから」などとはぐらかし、池袋での面会の約束を取り付けました。結局、赴いた先の池袋で、ビジネスの勧誘を受けることになったのです。
勧誘目的等を告げずに、セミナーなどに誘うのも同様に違反です。そうしたケースでの処分事例も多数あります。
NB会社の中には、三大告知義務の内容をすべて盛り込んだ名刺を作り、勧誘対象に会ったときは真っ先に渡すよう、会員を指導している会社もあるようです。行政処分の端緒となる違反ですから、十分気をつけてください。