電解水を作る“原材料”

それにしても水道水の味と安全性はなぜトレードオフとされるのか!?

 日本ではいま、蛇口をひねるときれいな水が出るのが当たり前になっています。このきれいな水は、浄水場で「凝集沈殿→ろ過→消毒」という処理工程を通じて作られています。ではその水源はどのようなものなのでしょうか。日ごろ、レベラックシリーズを使って水道水を電気分解し、生活全般に活用しているわたしたちにとって、水源について知っておくことも大切です。そこで今回は水道水の水源を取り上げてみます。

■都会の水はなぜうまくない?!

 よく聞く話が、「田舎に帰ると水はおいしいのに、都会の水はなんだか消毒臭くておいしくない」ですね。これは病原菌が生育できないように塩素消毒をしているためです。

 明治時代の初めに西洋文明と一緒に感染症も持ち込まれました。コレラや赤痢などの流行が起こり、10万人規模の死者が出ることが何度もありました。そして飲み水が菌に汚染されていることでコレラや赤痢が発生することが分かり、上水道を普及させたところ流行はなくなりました。

 ところで、海外では現地の水道水をそのまま飲んだらダメ、と言われたことはありませんか? これは浄水レベルが低い国があるためです。実際、わたしは過去に、海外出張中に少し生水を飲んだことでA型肝炎に感染した患者さんを診たことがあります。

 また、あまり知られていませんが、1998年に長崎県内のある大学とその付属高校の学生・生徒が800人以上、赤痢に罹ったことがありました。集団赤痢の発生です。調査の結果、その原因が簡易水道の水源である井戸水が菌に汚染されていたためと分かりました。

 水道水に利用する水源の水が悪ければ、それだけ浄水場での処理に塩素などいろいろなものを大量に使う必要があります。その結果、水が安全になってもおいしくなくなり、たくさん飲むことはできなくなります。

 国土交通省・淀川河川事務所のホームページには、ちょっとビックリするようなことが出ています。近畿地方の“水がめ”といわれる琵琶湖の水は、桂川、木津川と合流し淀川に流れ込んでいます。この淀川下流の大阪地域で給水される水道水には、何と上流の5カ所の下水処理場で処理した水が再利用されているのです。しかもこの地域の
利用者は、全“水がめ”利用者の半数を超えるといいます。もちろん飲用水ですからちゃんと浄水処理しているのですが、こんな現実もあることを知っておいてよいと思います。

■深刻な医薬品による河川の汚染

 いま世界的に河川が医薬品で汚染されていることが問題になっています。

 イギリスの世界的な学術雑誌『ネイチャー』が2003年に、こんな吹き出し(セリフ)を付けて、薬局で患者が説明を受けている風刺画を掲載しました。“1日3回、この薬を飲んでください、単にその辺の川の水を飲むだけでもいいですよ”と。そのココロは? “川の水に薬の成分がたくさん含まれているから、効果が十分ありますよ”という風刺です。

 2019年にイギリスの研究者が発表したデータでは、世界の91河川の3分の2近くで抗生物質が検出されたとしています(ここに日本の河川は含まれていません)。河川の水が抗生物質で汚染されると、そこで生きてきた細菌は滅亡の危機を乗り越えようと、その抗生物質よりも強くなります。それが耐性菌というものです。

 抗生物質は体内で分解されないため、尿や便から体外に排出されます。それが河川に流れ込んでいるとみられています。

 日本でも同様です。2004年から06年にかけて関西や関東で厚生労働省と国立保健医療科学院がいくつかの浄水場を調べたところ、飲用水に医薬品が残留していたことがわかりました。ただし濃度が非常に低いため、すぐに対応する必要はないとの見解でした。

 しかし、2018年の環境省の発表では、淀川水系で調べたところ、医薬品の汚染濃度が魚の異常行動につながるレベルに達していたとのことです。吐き気を止める薬、抗アレルギー薬、血圧降下剤など市販薬の半数以上は、直接、間接に神経細胞に作用します。これらが下水処理後の水に混じって生態系に悪影響を与える可能性が指摘されています。

 ちょっとした胃腸風邪で病院にかかっても、胃薬や吐き気止めが処方されます。その薬が水の汚染に繋がっていることに、医師も患者さんも気づいていません。加えて、わたしたち人間だけでなく、家畜にもさまざまな薬が投与されていることを忘れてはいけないでしょう。

■厚労省が「水を飲もう」運動を推進

 浄水場を出てからわたしたちの家の蛇口にたどり着くまでに、水は水道管を通ってきます。実はこの水道管、以前は鉛管が使用されていました。まだ古い鉛製の水道管は残っていて、鉛が溶け出したり錆びたりすることがあります。

 この件について東京都水道局は定期的な水質検査をおこない、厚労省が定めている水質基準に適合している、としています。ただし、長時間、水道水を滞留させた場合、水質基準を超える鉛が溶け出すことがあるため、「バケツ一杯」程度の最初の水は飲用以外に使ってほしいとしています。

 同じ厚労省では「健康のため水を飲もう」推進運動を2007年からおこなっています。以下がそのスローガンです。

 「目覚めの一杯、寝る前の一杯。しっかり水分、元気な毎日! 体の中の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となります。健康のため、こまめに水を飲みましょう」

 たしかに健康のためには水が必要です。では、わたしたちはどのような水を飲んでいったらいいのでしょうか。次回からこの点を考えていきます。