2020年9月18日、ジャパンライフの元会長ら14人が警視庁に詐欺罪で逮捕され、話題となりました。被害者も多く、被害金額も、戦後最大級の2100億円に上るとみられる多額事件ですから、司法の場では今後、厳しい判断が下されるとみられています。
「マルチ」が問題ではない
マスコミでは、ジャパンライフが、「マルチ商法の会社」と報道されることが多かったようです。筆者は、この点に違和感を覚えています。
「マルチ商法」は、特定商取引法上の「連鎖販売取引」の蔑称としてよく使われる言葉です。連鎖販売の会社が良いおこないをしてもほとんど報道されませんが、ひとたび悪いことをすると、マスコミは鬼の首をとったかのように「マルチが違法行為!」などと書きたてます。
そのため、「マルチ=悪」というイメージが多くの人に浸透し、健全な連鎖販売取引の会社がビジネスを展開しにくくなっています。
今回のジャパンライフに関する報道で、残念ですがこの傾向はさらに強まることでしょう。
そもそもジャパンライフの商法の根本的な問題点は、「マルチ」かどうかではなく、その業務が「オーナー(預託)商法」を展開していた点にあると筆者は考えます。

ジャパンライフでは、①消費者(オーナー)に磁気ネックレスなどの磁気治療関連商品を購入させ、②その商品を第三者に貸し出し、③貸し出しによる収益をオーナー消費者に還元する――というビジネスを展開していました。
こうした仕組みがオーナー商法と呼ばれています。ジャパンライフの場合、実際には、商品も、貸し出し先の第三者もほぼ存在せず、自転車操業でお金を回していただけ、という実態が明らかになってきています。
オーナー商法禁止の動きも
連鎖販売取引とは「特定利益(コミッションなど)があることをもって誘引し、特定負担(商品購入などの金銭的負担)をさせる行為」を指します。つまり(蔑称として「マルチ」などと呼ばれますが)、それ自体が本質的に被害者を生むものではないのです。ジャパンライフの場合は、連鎖販売取引を、悪質な「オーナー商法」と絡める形で展開したので問題が生じました。つまり、「マルチ」が悪かったのではなく、「オーナー商法」が悪かったといえます。消費者庁では現在、オーナー商法を原則禁止する法改正の準備を進めています。
オーナー商法を展開する企業は、ジャパンライフ以外にもたくさんあります。皆さんも、「商品を購入するだけで、銀行金利をはるかに上回る還元をしますよ」といったオーナー商法の甘い勧誘トークには騙されないようにしましょう。