過去最長24ヶ月の業務停止命令が!

 2019年7月に、WILL(ウィル)という会社が消費者庁から、特定商取引法に基づき24ヶ月の(訪問販売の)業務停止命令を受けました。現行の特商法で最長の行政処分がついに出されたのですが、それだけでなく今回の処分は以下のように”異例な側面”を多数持っています。

 まずウィルの事業モデルを説明します。同社の商品は、アプリが組み込まれたカード型USBメモリです。消費者は1個約60万円で購入したUSBメモリを、ウィルに貸し出します。ウィルはUSBに組み込まれたアプリを第三者に提供し、そこで上がった収益から消費者に、賃借料72万円を36回分割で支払うと説明していました。

 ただ、実際のところは、同社の総売上高の約99%を、USBメモリの売り上げが占めており、アプリ提供による収益はほぼ皆無でした。この点が「不実告知」(ウソつき!)に当たると判断されました。

異例ずくめの行政処分

①過去最長の処分
 2017年12月施行の改正特商法で、最長の業務停止期間が1年から2年に延長されました。これまでに15ヶ月や18ヶ月の業務停止命令はありましたが、24ヶ月の処分は今回が初めてです。

②関連会社7社も処分
 ウィルの統率の下、連携共同して契約の申込み受け付けや契約締結を実施していた関連会社7社に対しても18ヶ月の業務停止命令を出しました。

③処分期間中の追加処分
 実は、ウィルは18年12月に15ヶ月間の業務停止命令を受けているので、その期間中に今回の処分を重ねて受けたことになります。前回の処分は連鎖販売取引についてのものでしたから、業務停止期間中も訪問販売は可能ということになります。この”抜け道”を使ってビジネスを行なっていたことが分かったため、消費者庁連鎖販売の業務停止に加えて訪問販売もストップさせ、抜け道を塞いだとみられます。

④消費者安全法による注意喚起
 消費者庁は、処分と同じタイミングで消費者安全法に基づき、「ウィルがワールドイノベーションラブオールという別名で同様の違法行為を行う可能性があるので注意してください」という旨の注意喚起文書を発表しています。これにより社名を変えて同じ業務を、との”抜け道”を塞ぎました。

⑤開示求める指示処分も
 消費者に対して、USBメモリの売り上げや賃借料の額、運用事業により得た収益などを開示するよう求める指示処分も出されました。

⑥遅れて業務禁止命令が!
 最近では処分の定番となっている(幹部クラスへの)業務禁止命令は、遅れて8月6日に出されました。ウィルの会長、社長には24ヶ月、関連会社5社の社長には18ヶ月という重い処分です。いずれにせよ、今回の処分内容をみると、消費者庁の並々ならぬ意気込みが伺えます。