去る2018年2月20日、ビジネススクールのサービス提供を商材に連鎖販売取引を展開していたI社が、特定商取引法(特商法)に基づき消費者庁から6カ月間の取引停止命令を受けました。この処分事例からは、若い人を勧誘するさいに気を付けるべき点が浮かび上がってきます。
この会社のビジネスはどうやら、大学生など、かなり若い人の間で急速に広がってしまっていたようです。その証拠に消費者庁は、処分と同日に、「若者をターゲットとした悪質な勧誘にご注意を」と題した注意喚起文書まで公表しています。
今回の処分では、「適合性原則違反」という違法行為が認定されました。適合性原則違反というのは、「顧客の知識、経験、財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘」のことを指します。
「財産の状況」で適否を判断
今回のケースで勧誘の対象となった人たちの多くが若年層で、アルバイト収入や親からの仕送りなどで生活していました。そこで10万円強の入会金を「負担できない」という人たちに対して、「学生ローンに行って借りてきて」「一緒について行ってあげるよ」などと迫り、お金を借りさせて契約を結ばせました。その行為が、「財産の状況に照らして不適当」とする適合性原則違反に当たると判断されたのです。
なお、17年12月の特商法改正では、金融機関に消費者を連行したり、迷惑を覚えさせたりする方法で借り入れや預金引き出しを迫る行為が法律違反に当たることを明確化しています。
I社の某会員は、未成年の消費者に対して、保護者同意書を渡した上で、「本当はだめだけどパパっと書いちゃって」などと促し、未成年者本人に父親の名前を書かせ、押印させていたのです。正式な文書に虚偽の記載をさせる行為は、論外というべきでしょう。絶対NGです。
虚偽記載を促すのもNG
未成年者や学生のネットワークビジネスへの勧誘は、トラブルになりやすく、そもそもおこなうべきではありません。それ以外の若年層についても、知識・経験・財産が足りないでしょうから、勧誘は通常よりさらに慎重におこなう必要があるでしょう。
近年、連鎖販売取引に関する若者のトラブルの相談が増加傾向にあり、消費者庁や消費生活センター等の行政側は、「若者をターゲットにした連鎖販売取引」に対する監視の目を強めています。若者からの苦情・相談件数が多い企業を行政が集中的に処分していくことも今後十分に考えられます。先述の注意喚起文書は、そうした執行強化に向けた、消費者庁の強い意志表示と捉えておくべきでしょう。