信条は「一人ひとりを大切に!」

 筆者はある日、エナジックのトップ販売店が催すクリスマスパーティーに招かれたことがある。部屋に入って何気なく彼の机の上を見ると、束になったチェックがあってびっくりした。「何枚あるの?」と愚問を発したくなったものである。

 次は、ある女性販売店がロサンゼルスからニューヨークに向かう飛行機内で経験した話だ。隣には全く知らない女性が座っていた。販売店は会社から受け取ったばかりのチェックをハンドバッグから取り出し数え始めた。隣の席の人は、横目で見ながらチェックの数の多さにびっくりしたようだ。当然、「あなたはどんな仕事をしているの?」と2人の間に会話が始まった。機内の会話は弾み、やがて空港に着陸するころには隣の人も販売店になっていた、というエピソードだ。これも前号で紹介した「日払い決算」の威力であろう。

ネットワーク・ビジネスは一人から

 大城は一人ひとりの販売店を宝のように大事にする。会社は販売店なしには存続しない。販売店を大事にし過ぎる、という人もいる。販売店への報酬が大きいためだ。中には不活発で冬眠状態の販売店もいる。しかし、大城はそのような貢献度の少ない販売店へも注意を払う。彼の長い経験からネットワーク・ビジネスは一人を大事にすること、一人がモノになるとその影響は大であることを、彼は知っている。

 そもそも、いまはグローバル化したといえ、元々は大城と八重子夫人の2人でスタートした会社だ。販売店が100万人を超えるようになったのは、一人ひとりを大事にした結果だ。

 2014年8月のこと。大城は沖縄からやって来たエナジック・ゴルフアカデミーの子供たちを引き連れて、ロサンゼルス郊外のカントリークラブに出かけた。そこで大城は子供たちを応援しながら、全員のプレーが終わるのを待っていた。

 日本の対戦相手の中に中国からの子供がいた。その子供が優勝すると、大城はその子のお父さんのところに行き、「おめでとう」とあいさつをした。そして、その親子と一緒に自分もカメラに収まった。それだけでなく、ポケットから名刺を取り出し、そのお父さんと丁寧に名刺交換をするのだ。

 わたしは少し離れたところからその成り行きを眺めていたのだが、大城が根っからのセールスマンであること、また、「ネットワークは一人の人から始まる」と口癖のようにいう彼の信条を確認できた気がした。通常、会ったこともない見ず知らずの人に近寄り、名刺を交換することはない。もちろん、ゴルフ大会というきっかけはあったわけだが、普通は会釈程度で終わるだろう。

 大城のこの姿勢と営業マインドは我々とは違うと感じた。大城の目には、会う人はすべて“潜在的販売店”に映るのだろう。販売店も社員も大城の“セールスマンンシップ”に学びたいものだ。

自社ファイナンスで業績がアップ!

 大城の嫌いなものが2つある。銀行と弁護士だ。嫌いというのは「避けたい」という意味だ。借りたお金は後で返済しなければならない。ならば最初から借りないほうがいいという論法だろう。もちろん、銀行に助けを求めない、ということではない。これまでにお世話になったこともある。

 この銀行嫌いの発想から生まれたのがエナジック・ファイナンスだ。ネットワーク業界では特殊な自社ファイナンスであろう。自社ファイナンスは販売実績を上げる大きなポイントとなった。

 銀行などから「融資できない」とされた大勢の人たちにとって、大きな援護射撃となったのである。そして仮に焦げ付いても大損しないよう、短期回収ができるようにしてある。大城はこう自慢するのだ。「エナジックは資金繰りで困る会社ではない」と。